イエローノート

日々学び、日々遊び、日々挑み、日々成長。自分の学びの備忘録。

【読書録】『シン・ニホン ~ AI×データ時代における日本の再生と人材育成』 安宅和人著

未来は目指すものであり、創るものだ 

本書はヤフーのCSO(チーフストラテジーオフィサー)であり、データサイエンティスト協会理事として各省庁の国家戦略立案にも深く関与する著者による日本再生の指南書。日本がかつてのような輝きを取り戻すにための最重要課題は「教育への投資」であり、特にAI ]×データ人材の育成が急務と説く。現在の日本は「過去=高齢者」への支出が過大すぎる状況にあり、「未来=若年層」への投資が不十分であると。

 

驚いたのは大学院を出るような高度人材への待遇の日本と欧米の差。

欧米は優秀な学生を獲得するため、奨学金等(返還義務なし)により生活面も含めた十分なサポートを行う。その財源は成功した卒業生や企業からの寄付金。その資金をプロが運用し、その運用益で奨学金や研究費等をサポート。それにより優秀な学生が集まり、優れた研究が行われ、大学のプレゼンスが高まり、さらに優秀な学生と寄付金が集まるという好循環。寄付金には税制上の優遇措置もあり、社会全体で優秀な学生を育成するというエコシステム(インセンティブ)が出来上がっている。

それに対して日本はどうか。日本の大学院生は特に金銭面で十分なサポートを受けることができず、生活費捻出のため、研究に集中できない環境にある人も多いと聞く。しかも院卒でも有利な就職ができない環境であるため、大学院に行くインセンティブが用意されていない。海外からの留学生も少ない(日本に来る理由がない)。

筆者は高齢者向けの予算を数%削り、若年層に振り向けるべきと言っている。これで(十分ではないが)未来への種まきができる。日本の人口減少を所与の前提とすれば、日本は苦手な「0→1」ではなく、得意とする「1→100」の戦略で再び輝きを取り戻す必要があると説く。

 

この話を自分自身に置き換えてみる。

未来への投資ができているだろうか。必要な種まきができているだろうか。現在の延長線上にあるレールの上を歩いているだけでは変化に対応できない。変化に柔軟に対応するには複数のレールを持つ必要がある。新しいレールを手に入れるには新しいことにチャレンジしなければならない。

変化への対応は「経験」がものをいう。どんなに優秀な人でも、未知の事象に対して常に的確な対応をすることは難しい。逆に言えば、新しい事象に対する知見が少しでもあれば、ベストではなくても、ベターな対応はできる可能性は高まる。必要なのは様々な経験だ。情報はネットでいくらでも取れる時代。「知っている」ということに価値はない。いま価値があるのは「やったことがある」「見たことがある」「行ったことがある」というリアルな経験だ。

 

自分が望む未来は、自分で創らなければならない。