イエローノート

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【愚考録】政治に期待すること ~ 長期安定政権、教育投資、セーフティネット


本日(9/16)、菅義偉さんが第99代総理大臣に就任しました。約8年続いた安倍政権を継承する(と言われている)新しい政府が誕生します。せっかくの機会ですので、私が政治に期待することを整理してみました。

 

政治に期待すること① ~ 長期安定政権

まず期待するのは「長期安定政権」です。「長期安定」は政治的チカラの源泉だと思います。小泉政権も安倍政権も、在任中に様々な問題が発生しましたが、自民党内の権力構造をうまくコントロールして長期政権に繋げました。そして小泉政権は「郵政改革」、安倍政権は「集団的自衛権行使の憲法解釈変更」など(是非はともかく)歴史的な改革を成し遂げています。大きな政治的成果を上げるにはやはり政権の長期安定は不可欠です。

「長期安定」は特に外交面で大きなチカラを発揮すると思います。安倍首相は「地球儀を俯瞰する外交」を標榜し、多くの国との外交を行いました。世界で最も影響力が大きいトランプ大統領との良好な関係を築けたのも、G7始め世界の主要国トップと十分に渡り合える関係を既に築いていたからだと思います。長期政権は内政的にも外交的にも大きな成果を出すための必須条件だと考えます。菅総理大臣にも是非長期政権を築いて欲しいと思います。

 

 

政治に期待すること② ~ 教育投資

少子高齢化による国力低下が叫ばれて久しいすが、これをカバーするための方策は「教育」しかないと思います。日本の現状を考えれば、再びベビーブームを起こし、人口ボーナスによる国力回復を望むことは考えにくでしょう。そこで鍵となるのが一人当たりの生産性です。人口が減っていくのは間違いないのですから、国力を上げるには一人一人がより多くの価値を生み出さなければなりません。そのためには生産性が高い人材を多く育成しなければなりません。(相対的に)生産性が低い人材には、生産性を高めるための技術やツールでサポートする必要があります。そうやって日本全体の生産性を底上げしなければ、世界との競争に勝てるはずがありません。


その生産性を高める方法は「教育」しかないと考えます。熱意と創意がある人たちにどんどん教育投資を行い、世の中にどんどんエリートを排出していく。そのエリートたちが社会の中核に進出し、社会問題を解決していく。それによって相対的に生産性が低い人たちの生産性を底上げする。結果、社会全体の生産性が向上する。これからの日本にとって、国力を上げる方法はこれしかないと考えます。


その意味で、国家公務員の待遇はもっともっと改善されるべきだと思います。エリートたちが積極的に国家公務員となり、世界と戦える日本を創り上げていくのが理想です。現状をみると国家公務員は人気のない職業になってしまっています。平時は見向きもされず、何か問題が起こればヒステリックに糾弾される。成果を上げても国民からの敬意は得られない。政治家からも敵とみなされる。長時間労働が当たり前。そもそも給料が安い(仕事の難易度比で)。これではエリートが積極的に公務員になるはずがありません。今のままでは優秀な人材は民間や海外に流れてしまい、せっかく育成した優秀な人材の能力が局地的にしか還元されません。優秀な人材を排出すべく教育投資をどんどん行い、その能力や成果が社会全体に還元される形が理想です。教育なくして日本の明るい未来はあり得ません。菅総理大臣には積極的な教育投資を期待します。

 

政治に期待すること③ ~ セーフティネットの拡充

前項で教育投資によるエリート育成を期待すると述べましたが、当然ながら全員がエリートになれるわけではありません。様々な理由で十分な教育を受けられない人たちや、そもそも勉強する気がない人たちがいるのも現実です。人間社会は良くも悪くも競争社会ですので、競争によって社会に活力が生まれる一方、競争敗者が必ず生まれてしまいます。政治の役割は競争敗者の再挑戦をサポートすることだと考えます。敗者を支援することは公的な立場である政治にしかできないからです。敗者をサポートし、再挑戦する意欲を生むことで、社会全体に活力が生まれてくると思います。


ただし注意すべき点は、サポートすべき対象は「人」であって「組織」ではないという点です。競争に負けるということは、その組織は競争相手と比べて「非効率」「生産性が低い」ということです。そういう組織を公的に支援することは社会全体の効率・生産性を下げる行為です。リーマンショックの時など大企業が倒産の危機に瀕した場合、公的資金で支援する理由のひとつとして「Too big、Too fail」(影響が大きすぎてつぶせない)という論理がよく見られますが、これはナンセンスだと思います。大企業が倒産した場合の影響は確かに大きいです。しかしそれは一時的なものです。倒産した会社の従業員やその家族は確かに大きなダメージを受けますが、生き残るために再就職なり起業するなり「次の行動」をすぐに取るはずです。会社が倒産するのは組織対組織の競争の敗北(=経営者の責任)であって、個々の従業員が決定的に劣っていたわけではないと思います。様々なスキルを持った元従業員が、そのスキルを必要とする新しい組織に素早く吸収されれば社会的な生産性は上がります。倒産すべき企業が公的な支援で生き残るということは「社会の非効率」が存続してしまうということです。公的支援の対象は「組織」ではなく「人」だと考えます。菅総理大臣には「人」へのセーフティネットの拡充を期待します。