【読書録】『アフタ-デジタル ~ オフラインのない時代に生き残る』 藤井保文 尾原和啓 著
久々の衝撃。
今後数年で、デジタル化されていないものは「存在しないもの」と同義となるかもしれない。
本書は中国/上海ですでに実現されている「OMO」(Online Merges with Ofline/オンラインとオフラインンの融合)の事例を通じて「アフターデジタル」の世界・方向性を解説する。
アフターデジタルはすべてがデジタルに常時接続した世界。オンラインとオフラインの境界がなくなり、すべての人がユーザーであり、データ提供者でもある。5Gの実用化によりアフターデジタルは現実のものとなる。近い将来ではなく目前である。「デジタルを活用した効率化」や「既存のものをデジタル化する」という考え方はナンセンスとなり、あらゆるモノやコトがデジタル化されていることが大前提となる。デジタル化していないものは「存在しないもの」と同義となりかねない。
この世界での人間の仕事の価値は「即興のコミュニケーション能力」になるのではないか。定型的な作業はすべて機械化される。過去データに基づき処理できるニーズ対応はAIの解析力向上により解決される。機械化されずに人間に残される仕事は、その時々の「気分」や「気まぐれ」「わがまま」「ひらめき」などを上手に拾うコミュニケーションになるだろう。
近未来の社会風景がリアルに想像できた非凡な一冊。今のうちに読んでおくことをお勧めする。本書の発行は2019年だが、3年後(2022年)にはアフターデジタルのの世界が普通の風景となり、平凡な一冊になってしまうかもしれない。