イエローノート

日々学び、日々遊び、日々挑み、日々成長。自分の学びの備忘録。

【愚考録】自分の頭で考える

「自分の幸せ」は自分で考える時代

人生は選択の連続です。今日何を食べるか、誰と遊ぶか、何時に寝るかなど日々の小さな選択から、進学や就職、転職、結婚など人生の大きな岐路になる選択まで様々です。一昔(20~30年?)前までは「幸せな人生」の考え方はある程度固定化され、それが広く世間で共有されていました。大学を出て大手企業に就職し、結婚して家庭を持ち、定年まで勤めあげて、退職金や年金で悠々自適の老後を送る、というロールモデルです。実際、一定の努力をしてこの路線に乗りさえすれば、幸せな人生が約束されたも同然の時代がありました。すべての人が実現できるわけではないものの、「目指すべき道」として価値観が固定化されていた時代です。今の60~80歳の世代は実際にこの路線を歩んだ世代であり、その下の40~60歳の世代は親から「この道を目指しなさい」と教育された世代です。

しかし、さらにその下の20~40歳の世代はどうでしょうか。そんなロールモデルは完全に崩れ去っています。大学を出ても希望通りに就職できず、低所得のため家族を持つことがリスクになりかねない。終身雇用が崩壊し、年金・退職金も予定通りもらえるかわからない。時代の変化が激しく、5年後、10年後の自分の状況を想像することが難しい。こんな時代なので(若い世代にとっての)「幸せな人生」の定義は大きく変わっています。というより誰もが共有できる「幸せな人生」などなくなっているのです。もちろん先ほどのロールモデルのような人生を望む人は今も多いかもしれません。しかし実現できる人は(私の体感では)ごく少数であり、多くの人が目指す「べき」道ではなくなりました。自分の行く道は自分で考えなければならないのです。


なぜ、自分の頭で考えることが重要か?

このような時代、最も必要なスキルは「自分の頭で考えること」だと思っています。
先ほどのロールモデルが有効であった時代は、「人生の選択」についてあまり考える必要はありませんでした。大学に行くために「必要な」勉強をする、「よい」会社に入るために「よい」大学を目指す、という場合の「必要な」や「よい」の中身は決まっていて、それが世の中で共有されていたので自分で考える必要がなかったのです。しかし今の時代は、何が必要で、何がよいか、は各個人の状況によって大きく異なるはずです。でも何も考えていない人は世の中にあふれる流行りのアドバイスに踊らされてしまいます。「これからは○○の時代だ」「いま身に着けるべきスキルは○○だ」という宣伝文句には注意が必要です。例えば英語やプログラミングなどのスキルアップ。例えば転職や起業などのキャリアアップ。確かにどれも有益なものだと思います。でもよく考えてみてください。

 

  それは「本当に」あなたにとって必要なものですか?

 

こういう宣伝文句が本や雑誌で書店に並ぶ頃には、その○○はすでに価値が低下している場合が多いと思います。多くの人がその価値に気づいてしまうからです。時間やお金の多くをその○○に費やしたにも拘わらず、自分が一定のレベルに達した時、その○○はすでに世の中ではコモディティ化している(価値が低下している)可能性が高い。それに投入した時間やお金が無駄になってしまいます。その経験を「学び」として自分の成長につなげられれば良いのですが、何も考えない人は次の○○に飛びついて同じことを繰り返してしまうでしょう。

そうならないために必要なものが「自分の頭で考えること」だと思います。
人生は選択の連続ですが、誰でも自分にとって「よい選択」をしたいはずです。難しいのは「何がよいのか」を判断することです。その判断をするためにいろいろな人のアドバイスや事例を参考にして真似することも多いと思います。それは当然のことです。肝心なのは「アドバイスに従うだけ、真似するだけ」ではダメだということです。様々なアドバイスや事例をもとに、自分の状況を踏まえて「本当に自分に必要な選択」をしなければなりません。他人のアドバイスに盲目的に従っていると、貴重な資源である時間やお金を無駄にすることになってしまいます。

余談ですが、今回のコロナ騒動は「考えている人」と「考えていない人」の差が大きく出る状況だと思います。感染拡大防止のために、不要不急の外出を控え、行動を自粛・抑制するという要請は間違っていないと思います。しかしどう自粛・抑制するかは各個人で考える必要があります。「家から一歩もでない」が可能な人はそうすればよいし、外出が必要な人は必要な感染予防対策をとったうえで外出すればよいのです。自粛期間中に現れた「自粛警察」は自分の頭で考えられない人たちなのだと思います。上からの指示に盲目的に従い、指示から外れた人を糾弾する。小学生が先生に言いつけるのと同じ構造です。「こうしなさい」と言われたらその通りにするだけ。何が正解か解らない今回のような状況では、必要なのは自律的に考えて自分の責任で行動する姿勢だと思います(好き勝手すれば良いという意味ではありません。念のため)。


自分の頭で考えるにはどうすればよいか?

自分の頭で考えるために必要なのは、「大量のインプット」「批判的な思考」「想像力」だと思います。

1つづつみていきましょう。まずは「インプット」。これは説明不要でしょう。何らかのテーマについて「勉強しよう」「考えてみよう」と思ったときに、多くの人が最初にする行動が「調べる」でしょう。つまりインプットです。思考のベースとしてインプットは欠かせません。例えばキャッシュレス決済を初めて使おうと考えたとき、あなたならどうするでしょうか? 大半の人は、各アプリの説明資料を読んだり、「いま使うべき決済アプリ5選!」などのネット記事をみて比較したり、すでに使っている人に評判を聞いたり、ということをすると思います。そうやっていろいろな情報を集めてから、自分の中で情報を整理し、自分に一番合いそうなアプリを選ぶのだと思います。

次に「批判的な思考」についてです。考えるための準備として様々なインプットをすると思いますが、その時大切なのは「そのインプットを鵜呑みにしない」という姿勢です。インプットした情報に対して「本当にそうか?」「それは自分にとって必要なものか?」「別の考え方はないのか?」という視点を持つことが大切です。なぜなら、その視点がないと自分で考えたことにならないからです。インプットした情報を何の加工もせずにそのままアウトプットした場合、その情報は自分の頭を通過しただけです。先ほどのキャッシュレス決済の例でいえば、人から勧められるがままに評判のアプリを次々とダウンロードして、スマホ画面が未使用のアプリで埋め尽くされている状態と同じです。こういう人はお店によってアプリを使い分けることもできず、還元されるポイントも分散し、お得な使い方ができないでしょう。ここで大切なことは「自分で選ぶ」ということです。次々に展開される各社の還元キャンペーン狙いでいろいろ試してみるのはアリだと思いますが、自分や周囲(お店)の環境を踏まえて、最も最適な(お得な)アプリに絞り込むことが必要です。世の中にはたくさんの”お得情報”があふれていますが、情報をうのみにせず、自分にとって「本当にお得か?」を常に考えることが大切です。

最後に「想像力」です。必要なインプットをして、批判的な思考で自分に必要なものを選んだ後に必要なのは「次に必要な準備は何か?」を想像することです。変化が激しい時代です。一生懸命考えて「今」の自分に最適な状態を作ったとしても、それが長続きするとは限りません。「次」に来るものを想像して、それに備えることも重要です。そのためには必要な情報を自分から採りに行くこと(=インプット)が必要です。トレンドを先読みし、有益なトレンドに乗ることができれば豊かな人生を送ることができるでしょう。何も考えずに無益なトレンドに”踊らされる”ことだけは避けたいものです。


最後に

「何のために自分の頭で考えるのか?」と問われたら、私は「自由であるため」と答えます。自分の頭で考えられない人は不自由です。なぜなら自分が好きなことができないからです。「別に好きなようにやってるけど」という反論が聞こえてきそうですが、本当にそうでしょうか? 
例えば「グローバルな時代では必要だから」とはじめた英語の勉強。本当にそう思ってますか?あなた自身は本当に英語が必要ですか?本当の理由は「みんながやっているから」ではないですか?
例えば「大企業では自分の能力は発揮できない」といって準備を進めている起業。自分ひとりで人や社会を動かすだけの覚悟とアイデアをもっていますか?就職活動から逃げているだけではありませんか?「これからは起業の時代だ」という書籍や雑誌記事のコピーに踊らされているだけではありませんか?
今の時代、英語も起業もとても有益なものだと思います。しかしすべての人にとって有益とは限りません。自分でその必要性や意義を見出し、目的意識を持って行うからこそ有益なものになるのです。自分の頭で考えずに「みんなやってるから」「流行りだから」という理由で行うことに全く意味はありません。ただの時間の無駄です。その時間は「自分の時間」ではなく「他人に踊らされている時間」です。よくある言い訳として、「いつか」「そのうち」役に立つかもしれないから、というものがありますが、自分の頭で考えず、目的意識のない人に「いつか」や「そのうち」は絶対にきません。ゴールの場所が解っていない人がゴールにたどり着くことは絶対にないからです。

自分の頭で考えない人は簡単に他人に支配されてしまいます。つまり不自由なのです。「英語の時代だ」と言われれば、無目的に英語の勉強をする。「起業だ」と言われれば、とりあえず起業アイデアを考えはじめる。「自粛しろ」と言われれば、文句を言いつつおとなしく自粛する。そこに自分の意思はありません。こんな人生楽しいですか? 私はそうは思いません。自分の人生は自分で創って行きたいと考えています。そのために必要なことはこれしかありません。

 

「自分の頭で考える」